自宅でのセルフケアだけでは症状が改善しない場合や、原因がはっきりしない場合、あるいは痛みが強い場合などは、迷わず歯科医院を受診しましょう。カタル性口内炎は、原因を特定し、それを取り除くことが根本的な治療となります。歯科医師は、まず患者さんの口の中の状態を詳しく診察し、カタル性口内炎の診断を確定します。そして、問診を通じて、考えられる原因(入れ歯や矯正装置の不具合、特定の食品や習慣、全身の健康状態など)を探ります。もし原因が入れ歯や矯正装置の不適合であれば、装置の調整や修理を行います。歯の尖った部分が粘膜に当たっている場合は、その部分を丸める処置を行います。口の中の清掃状態が悪く、細菌やカビの増殖が疑われる場合は、歯科医院でのプロフェッショナルクリーニング(PMTC)を行い、プラークや歯石を徹底的に除去します。カンジダ菌感染が確認された場合は、抗真菌薬のうがい薬や軟膏が処方されます。症状を和らげるために、炎症を抑えるステロイド成分を含む軟膏や、痛みを抑える麻酔成分を含む軟膏などが処方されることもあります。これらの薬剤を適切に使用することで、粘膜の炎症が鎮まり、痛みが軽減されて楽になります。また、全身的な要因(ストレス、栄養不足、基礎疾患など)が疑われる場合は、生活習慣の改善に関するアドバイスを受けたり、必要に応じて内科などの他の医療機関への受診を勧められたりすることもあります。カタル性口内炎は、原因への対処と対症療法を組み合わせることで、多くの場合改善が見られます。自己診断で原因を見誤ったり、不適切なケアを続けたりすると、症状が長引いたり、悪化したりする可能性があります。専門家である歯科医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが、早期にツラい症状から解放されるための最も確実な方法です。