上唇挙筋過活動女性の笑顔の特徴
ガミースマイルの原因のうち、特に女性で影響が大きいと考えられているのが、上唇を引き上げる筋肉(上唇挙筋群)の働きが過剰である「上唇挙筋過活動」です。笑ったとき、私たちは自然に上唇を動かしますが、この筋肉の力が強すぎると、上唇が通常よりも大きく上に引き上げられてしまいます。その結果、上の歯だけでなく、歯茎まで広範囲に見えてしまい、ガミースマイルとなります。なぜ女性の方がこの筋肉の働きが過剰になりやすい、あるいはガミースマイルとして目立ちやすいのでしょうか。明確な理由は解明されていませんが、女性の顔の筋肉のつき方や、笑顔を作る際の表情筋の使い方の癖などが関連している可能性が考えられます。また、男性に比べて皮膚が薄く、筋肉の動きが表面に現れやすいため、同じ筋肉の動きでもより上唇が引き上がりやすく見えるのかもしれません。この上唇挙筋の過活動によるガミースマイルは、骨格や歯茎の量には特に問題がないにも関わらず発生することがあります。このタイプのガミースマイルの改善策として有効なのが、上唇挙筋群へのボトックス注射です。ボトックスは筋肉の動きを一時的に弱める作用があり、注射することで笑ったときに上唇が必要以上に上がらないようにコントロールします。これにより、歯茎の露出を減らすことができます。比較的短時間で施術が可能であり、メスを使わないため手軽な方法として人気があります。ただし、効果は永続的ではなく、一般的に4~6ヶ月程度で効果が薄れてくるため、定期的な施術が必要となります。どの程度の量のボトックスをどこに注入するかは、患者さんの顔の筋肉のつき方や笑顔の癖を正確に診断し、経験豊富な歯科医師や医師が慎重に判断する必要があります。