口の中にできる痛みを伴う潰瘍、それが口内炎です。様々な種類がありますが、最も一般的で多くの人が経験するのが「アフタ性口内炎」です。通常は唇の内側や頬の粘膜、舌などにできることが多いのですが、歯茎にも発生することがあります。歯茎にできた場合、食事や歯磨きの際に触れて強い痛みを感じやすく、非常に不快な症状となります。アフタ性口内炎は、小さくて丸い、白っぽいまたは黄色っぽい膜で覆われた潰瘍の周りが赤く縁取られているのが特徴です。大きさは数ミリ程度であることが多いですが、複数個同時にできたり、再発を繰り返したりすることもあります。歯茎にできると、その硬い組織の上にあるため、少し盛り上がって見えたり、触れると周囲の歯茎よりもへこんでいるように感じられたりすることがあります。アフタ性口内炎ができる原因は、実ははっきりとは解明されていません。しかし、いくつかの要因が関連していると考えられています。例えば、睡眠不足や疲労、ストレスなどの体調不良、偏った食事による栄養バランスの偏り(特にビタミンB群や鉄分の不足)、口の中の粘膜への物理的な刺激(歯ブラシで強く磨きすぎる、硬い食べ物で傷つける、合わない入れ歯や矯正装置が擦れるなど)、女性の場合はホルモンバランスの変化などが挙げられます。歯茎の場合、特に歯磨きの際に誤って傷つけたり、尖った食べ物が刺さったりといった物理的な刺激が引き金になることもあります。歯茎にアフタ性口内炎ができたと感じたら、まずは鏡で患部をよく観察してみましょう。典型的なアフタ性の特徴に当てはまるか確認します。そして、刺激を与えないように注意しながら、口の中を清潔に保つことが回復を早める上で重要です。ただし、歯茎の場合は他の病気(歯周病の急性炎症や根尖性歯周炎のフィステルなど)と見間違いやすいケースもありますので、症状が改善しない場合や、痛みが非常に強い場合、範囲が広い場合などは、早めに歯科医院を受診して診断を受けることをお勧めします。歯科医師は、適切な診断に基づき、塗り薬や貼り薬の処方、あるいは他の病気への対応をしてくれます。自己判断で済ませず、プロの意見を求めることが大切です。