インフォームドコンセントという言葉を耳にしたことはありますか?これは、医療の現場で非常に重要なプロセスです。簡単に言うと、医師などの医療者が患者さんに対して、これから行われる医療行為(検査や治療、手術など)について、その内容、目的、予測される効果やリスク、他の治療法がある場合の選択肢などを、患者さんが理解できるように丁寧に説明し、患者さん自身がその説明を聞いて十分に納得した上で、同意するかどうかを自分の意思で決定することです。なぜインフォームドコンセントが大切なのでしょうか。それは、患者さんの自己決定権を尊重するためです。自分の体に何が行われるのかを知り、理解し、納得した上で、その医療行為を受けるかどうかを決める権利は、誰にでもあります。医師がいいと言うから全てお任せ、という時代から、患者さんが医療に主体的に関わる時代へと変わってきています。説明は、患者さんが理解できる言葉で、専門用語を避けたり、図や資料を使ったりするなど、工夫して行われます。聞いている中で分からないことや不安なことがあれば、遠慮なく質問することができます。納得がいかない点があれば、もう一度説明を求めたり、考える時間をもらったりすることも可能です。インフォームドコンセントは、医療行為を受ける前に一度行えば終わりというものではありません。治療の経過に合わせて、説明が必要になったり、新たな選択肢が出てきたりすることもあります。その都度、状況に応じた説明と同意が求められる場合もあります。インフォームドコンセントは、患者さんと医療者の間の信頼関係を築く上でも欠かせません。患者さんが医療者からの説明を十分に理解し、納得して医療に臨むことで、安心して治療を受けることができます。また、医療者側も、患者さんの意向を正確に把握することで、より患者さんの状態や価値観に合った医療を提供できるようになります。このプロセスを通じて、患者さんは単に治療を受けるだけの存在ではなく、自分の健康や人生に関わる重要な決定に積極的に関わる主体となります。インフォームドコンセントは、患者さんが主体的に医療に参加するための第一歩と言えるでしょう。
インフォームドコンセントを正しく理解する