クインケ浮腫によって唇が腫れる原因は一つではなく、いくつかのタイプに分けられます。原因を特定することは、適切な対処や再発予防のために非常に重要です。最も一般的な原因の一つに、「アレルギー性」があります。食べ物(卵、乳製品、小麦、そば、魚介類、ナッツなど)や、薬物(特定の抗生物質や痛み止めなど)、あるいは虫刺されなどに対するアレルギー反応としてクインケ浮腫が起こることがあります。アレルギー性の場合は、原因物質に触れたり摂取したりしてから比較的短時間で症状が現れることが多いです。次に、「薬剤性」です。これはアレルギー反応とは少し異なり、特定の薬剤が体内の化学物質のバランスを変化させることで浮腫を引き起こします。特に、高血圧の治療薬であるACE阻害薬やARBsといった薬が原因となることが比較的知られています。これらの薬を服用中にクインケ浮腫が出た場合は、すぐに医師に相談し、可能であれば薬剤を変更する必要があります。さらに、「遺伝性」のクインケ浮腫(遺伝性血管性浮腫:HAE)というものがあります。これは、血液中の補体と呼ばれるタンパク質の一種に異常があるために起こる病気で、遺伝的に受け継がれます。HAEによる浮腫は、特定の刺激(軽微な外傷、歯科治療、ストレスなど)によって誘発されることがありますが、誘因がはっきりしないこともあります。腫れが強く、喉に浮腫ができた場合は命に関わることもあるため、専門的な治療が必要です。最後に、「特発性」と呼ばれる、原因が特定できないタイプのクインケ浮腫もあります。慢性的に繰り返す場合に、様々な検査を行っても原因が分からないケースがこれにあたります。原因が多岐にわたるため、クインケ浮腫が起きた場合は、何がきっかけになった可能性があるかをよく考えて、医療機関で相談することが原因特定への第一歩となります。
なぜ唇が腫れる?クインケ浮腫の原因