顎関節症を治療する医療機関の選び方
「口腔外科」という名称で診療している医療機関もありますが、これは「歯科口腔外科」と同様の専門領域を扱っています。病院によっては「口腔外科」として独立した診療科を設けている場合もあれば、歯科部門の中に「歯科口腔外科」として含まれている場合もあります。名称は異なっても、顎顔面領域の専門性を有している点では共通しており、顎関節症の診断・治療において中心的な役割を担います。歯科領域以外では、「整形外科」を検討する人もいるかもしれません。整形外科は、骨、関節、筋肉、神経といった運動器の疾患を専門としています。顎関節も体の一つの関節であるため、理論的には整形外科の範疇に含まれます。しかし、顎関節症は、その発生原因や治療法が、股関節や膝関節といった他の関節疾患とは異なる特殊な側面を持っています。特に、噛み合わせや歯ぎしりといった歯科的な要因が強く関与するため、整形外科医が顎関節症に精通しているとは限りません。全身の運動器に関する知識は豊富ですが、顎顔面領域に特化した専門知識や治療経験は、歯科口腔外科医の方が一般的に豊富です。したがって、顎関節症の主要な原因が明らかでない場合や、全身的な関節疾患の一部として顎関節に症状が現れている場合などを除き、最初の選択肢としてはあまり適さないと言えます。ただし、リウマチなどの全身性の疾患が顎関節に影響を与えている場合は、リウマチ科や整形外科との連携が必要になることもあります。