唇が腫れてしまったとき、医療機関を受診するまでの間や、症状が比較的軽い場合は、自宅でできるセルフケアによって腫れや不快感を和らげることができます。まず、最も基本的なのは「冷やす」ことです。清潔なタオルに包んだ保冷剤や氷、あるいは冷たい水で湿らせたタオルなどを、腫れている唇に優しく当てましょう。冷やすことで血管が収縮し、腫れの広がりを抑えたり、ヒリヒリとした熱感を和らげたりする効果が期待できます。ただし、長時間当てすぎると凍傷になる可能性があるため、様子を見ながら行いましょう。次に、唇への「刺激を避ける」ことです。熱すぎるもの、冷たすぎるもの、辛いもの、酸っぱいものなど、唇に触れると刺激になる飲食物は避けましょう。タバコやアルコールも唇の粘膜に負担をかけるため控えるべきです。リップクリームや口紅の使用も、成分によっては刺激になる可能性があるため、腫れが治まるまでは避けた方が良いでしょう。唇を触ったり、舐めたり、皮を剥いたりといった行為も、刺激を与えたり、症状を悪化させたり、感染を引き起こしたりする可能性があるため、意識してやめるようにしましょう。口の中を清潔に保つことも大切ですが、腫れている部分には刺激を与えないように、やわらかい歯ブラシで優しく磨き、低刺激性の歯磨き粉や洗口液を使用します。市販の口内炎用軟膏などが症状緩和に役立つ場合もありますが、原因によっては効果がなかったり、かえって悪化させたりすることもあるため、使用には注意が必要です。不明な場合は薬剤師に相談するか、医療機関を受診しましょう。そして何より大切なのは「安静にする」ことです。無理に話したり、食べたりせず、唇への負担を減らしましょう。これらのセルフケアを行っても症状が改善しない、悪化する、あるいは他の症状が出た場合は、ためらわずに医療機関を受診してください。
腫れを和らげる自宅ケアと注意点