アレルギーだけじゃないクインケ浮腫の原因
クインケ浮腫と聞くと「アレルギーかな?」と思う人が多いかもしれませんが、実際にはアレルギー以外の様々な原因で起こります。原因を正確に理解することが、適切な対策や治療、そして再発予防につながります。前述のアレルギー性、薬剤性に加えて重要なのが「遺伝性血管性浮腫(HAE)」です。これは、血液中のC1インヒビターと呼ばれるタンパク質の機能が低下している、あるいは量が不足しているために起こる遺伝性の病気です。C1インヒビターは、血管の透過性をコントロールする働きを持つため、この機能に異常があると、些細な刺激でも血管から血漿成分が漏れ出しやすくなり、浮腫を引き起こします。HAEによる浮腫は、一般的なクインケ浮腫よりも腫れが強く、引くのに時間がかかる(数日~1週間程度)傾向があります。また、お腹の中に浮腫ができると激しい腹痛を引き起こしたり、喉に浮腫ができて呼吸困難になったりと、重篤な症状を引き起こす可能性があるため、専門医による診断と管理、そして発作時の特異的な治療薬が必要です。HAEは非常に稀な病気ですが、原因不明の浮腫を繰り返す場合は、この病気の可能性も考慮して検査を行うことがあります。また、一部の感染症や、特定の病気(自己免疫疾患やリンパ増殖性疾患など)に関連してクインケ浮腫が起こることもあります。さらに、慢性的にクインケ浮腫を繰り返すにも関わらず、アレルギー検査や他の検査を行っても原因が特定できない場合があり、これを「特発性クインケ浮腫」と呼びます。特発性の場合でも、抗ヒスタミン薬やステロイドなどが症状緩和に使われます。原因が多岐にわたるため、クインケ浮腫が疑われる場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、医師と協力して原因を探ることが非常に大切です。