突然、唇が大きく腫れあがると、驚きと不安でパニックになってしまうかもしれません。しかし、クインケ浮腫の多くは数日で自然に軽快するため、まずは落ち着いて対処することが重要です。唇だけの腫れで、呼吸が苦しい、飲み込みにくい、声が出しにくいといった喉や気道の症状を伴わない場合は、比較的緊急性は低いと考えられます。このような場合は、まずは冷静に症状を観察し、可能であれば腫れ始めた時間や、その前に口にしたもの、服用した薬、体の状態などを記録しておくと、後で医療機関を受診した際に役立ちます。腫れている部分を冷やすことは、不快感を和らげたり、腫れの広がりを抑えたりするのに効果的です。清潔な冷たいタオルや保冷剤(タオルで包んで)などを優しく当ててみましょう。ただし、凍傷にならないように注意してください。また、唇が腫れているときは非常にデリケートになっているため、触りすぎたり、刺激を与えたりしないように気をつけましょう。熱いものや辛いもの、酸っぱいものなどの刺激的な飲食物は避けて、刺激の少ない、やわらかいものを口にするようにします。口紅やリップクリームの使用も、刺激になる可能性があるため控えた方が良いでしょう。多くの場合、腫れはゆっくりと引いていきますが、もし腫れがひどくなる一方だったり、痛みが強くなったり、あるいは先に述べたような喉の症状(呼吸困難、嚥下困難、声枯れなど)が現れた場合は、迷わず救急医療機関を受診してください。特に気道が腫れると命に関わる危険性があるため、迅速な対応が必要です。症状を冷静に判断し、適切な対処を行うことが、クインケ浮腫の際には非常に重要になります。