顎に違和感がある、口を開けにくい、顎を動かすと音がする。これらはもしかしたら顎関節症のサインかもしれません。このような症状が出たとき、次に考えるのは「どこに行けばいいんだろう?」ということでしょう。顎関節症の症状に気づいたあなたが、適切な医療機関でスムーズな第一歩を踏み出すためのガイドをお届けします。顎関節症の症状は多様で、原因も一つとは限りません。そのため、どの専門家に見てもらうべきか判断に迷うことが多いのです。しかし、最も可能性が高く、そして多くのケースで的確な診断・治療を行える専門科があります。それは「歯科口腔外科」です。なぜ歯科口腔外科なのでしょうか。顎関節は、頭蓋骨と下顎骨をつなぐ関節であり、噛む、話す、嚥下するといった口の機能に深く関わっています。そして、これらの機能は歯や噛み合わせと密接に関連しています。歯科口腔外科は、まさにこの「口の機能」と「顎顔面領域」の構造・疾患を専門とする診療科だからです。歯科口腔外科医は、歯、歯茎、顎の骨、顎関節、顔面の筋肉、神経、唾液腺など、広範囲にわたる知識と診療経験を持っています。顎関節症の場合、彼らはまず問診や触診、そしてパノラマレントゲンやCT、MRIといった画像診断を用いて、顎関節の構造的な異常、関節円板の位置異常、顎の筋肉の状態などを詳しく調べます。また、噛み合わせの状態や、歯ぎしり・食いしばりの有無など、顎関節に負担をかける可能性のある歯科的な要因も詳細に評価します。このような包括的な評価に基づき、顎関節症の病型(I型:咀嚼筋痛障害、II型:関節包・靱帯障害、III型:顎関節円板障害、IV型:変形性顎関節症など)や重症度を診断し、最も適切な治療計画を立ててくれます。治療法としては、顎関節への負担を軽減するためのスプリント療法(マウスピース)、痛みを和らげるための薬物療法、顎の動きを改善するための理学療法や運動療法、そしてストレスや悪習癖に対する指導など、多岐にわたるアプローチを組み合わせることが一般的です。