口臭を気にするあまり、良かれと思って行っているオーラルケアが、実は、かえって口臭を悪化させる原因になっているとしたら…?口臭ケアには、適切な「加減」があり、過剰な「やりすぎケア」は、口内環境のバランスを崩し、逆効果となってしまう、という落とし穴が存在します。ここでは、多くの人が陥りがちな、おすすめできない「やりすぎ口臭ケア」について警鐘を鳴らします。まず、最も代表的なのが、「歯の磨きすぎ」です。口臭をなくしたい一心で、一日に何回も、硬い歯ブラシで、力を込めてゴシゴシと歯を磨いていませんか。過度なブラッシングは、歯茎を傷つけ、歯茎下がり(歯肉退縮)の原因となります。歯茎が下がると、歯の根元が露出し、知覚過敏を引き起こすだけでなく、歯と歯の間に隙間ができて、さらに食べかすが詰まりやすくなるという悪循環に陥ります。また、歯の表面のエナメル質まで削り取ってしまうこともあります。次に、「舌の磨きすぎ」です。舌苔が口臭の原因だと知り、毎日、力を込めて舌をこすっていると、舌の表面にある、味を感じるためのデリケートな組織(味蕾)を傷つけてしまいます。これにより、味覚障害が起きたり、傷ついた粘膜が、かえって細菌の温床となったりする危険性があります。舌ケアは、一日一回、優しく撫でる程度で十分です。そして、「洗口液の使いすぎ」も要注意です。特に、アルコール成分が多く含まれた、刺激の強い洗口液を、一日に何度も使うと、口の中の必要な常在菌まで殺菌してしまい、菌のバランスを崩してしまいます。また、アルコールの作用で、口の中が乾燥しやすくなり、結果的に、唾液による自浄作用が低下し、口臭が悪化することもあります。口臭ケアで大切なのは、力任せに、全ての菌を根絶やしにしようとすることではありません。それは不可能です。目指すべきは、丁寧なケアで、悪玉菌のエサとなる歯垢や汚れを取り除き、唾液の力を活かして、口内フローラの「良いバランス」を保つことなのです。もし、あなたの口臭ケアが、「とにかく強く、何回も」という方向に向かっているなら、一度立ち止まり、「優しく、的確に」という、おすすめのケア方法へと、考え方をシフトチェンジする必要があるかもしれません。