顎関節症は、顎の関節周辺に生じる様々な問題を総称する疾患であり、その原因や病態は多岐にわたります。正確な診断のためには、問診や視診、触診といった臨床的な評価に加え、顎関節の内部構造を詳細に把握するための画像診断が不可欠です。本記事では、「顎関節症 何科」という疑問に答えるとともに、顎関節症の診断に用いられる主要な画像診断技術と、それらを駆使する専門科の役割について、技術的な側面も交えて解説します。顎関節症の診断において中心的な役割を担うのは、「歯科口腔外科」です。これは、顎関節症が、顎関節自体の問題に加えて、噛み合わせや歯ぎしりといった歯科的な要因と深く関連しているためです。歯科口腔外科医は、顎顔面領域の解剖学、病理学、生理学に精通しており、顎関節症の診断・治療に必要な専門知識と技術を有しています。顎関節症の正確な診断には、これらの画像診断技術の中から、症状や疑われる病態に応じて最適なものを選択し、適切に解釈する専門的な能力が求められます。特に、MRIは関節円板障害を診断する上で非常に重要であり、高度な診断技術と言えます。歯科口腔外科医は、これらの画像診断結果を、患者さんの臨床症状、問診情報、触診所見などと総合的に組み合わせて診断を下します。例えば、クリック音がある患者さんで、MRIで関節円板の前方転位(復位あり)が確認されれば、クリック音は開口時に円板が正常位置に戻る際の音であると診断できます。